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歌舞伎町に「ヤクザ100人」大集結!「スカウト狩り」の全真相



歌舞伎町に「ヤクザ100人」大集結!「スカウト狩り」の全真相


東京都の休業要請が緩和されていく段階で起こった、不測の事態だった。
東洋一の繁華街、新宿・歌舞伎町で、「闇の住人」同士による、きわめて深刻な暴力事件が発生していたのだ。

「おいコラ、コラァッ!」
ドスの効いた声が威嚇する方向にスマホのカメラが向けられると、体格のいい4、5人の男が、1人の男性を取り囲んでいた。
すでに小突き回されていたのだろう、どうにかして逃れようと体をよじるが、その刹那、「バチィッ!」という大きな音とともに、男性の左側頭部に拳が命中。
そしてすぐさま、反対側にいた別の男から右肩付近にさらなる一撃が。被害男性は顔を伏せ、よろけるようにカメラからフレームアウトしていった。

これは6月に入った最初の週末に、アウトローたちの間で一気に拡散した動画である。歌舞伎町のアンダーグラウンドに詳しいライターが解説する。
「事件が起きたのは6日の金曜日から、翌土曜日にかけての深夜帯のことでした。
あるヤクザ組織の組員たちが歌舞伎町に大挙押しかけ、路上で女性に声がけするスカウトの男たちを襲撃したのです。
ヤクザ側は少なく見積もっても100人ぐらいはいた。歌舞伎町近辺だけでなく、JR新宿駅の周辺や、西新宿あたりにも繰り出し、
20人から30人くらいで通りを闊歩して、スカウトを見つけては取り囲んで暴力を振るう。その瞬間を押さえた別の動画もあります」

暴行の瞬間を目撃した歌舞伎町の飲食店経営者が証言する。
「不良(※組員本人や、近しい一般人がヤクザのことを総称して呼ぶ言い方)の人たちは、スカウトらしき路上の男性に片っ端から『お前、Nか?』と声をかけていました」
いわく、「N」とは歌舞伎町でも最大規模の「スカウト会社」だという。
ヒートアップしたヤクザ側が、問答無用で関係のないホストらを殴ってしまうケースまであった。
いったいNとはどんな組織で、ヤクザとの間でいかなるイザコザがあったのか。先の飲食店経営者が続ける。

「Nは10年ほど前から勢力を伸ばしてきたスカウト会社で、登録人数でいえば700~800人は下らない、最も勢いのあるスカウト集団です。
Kというコワモテの双子の兄弟がトップで、ひと言でいえば『行儀の悪い』スカウトを多数抱えて、トラブルが絶えない連中でした」
スカウトを無視する女性に対して悪態をついたり、対立する別のスカウト会社とのケンカ沙汰は日常茶飯事だったという。
さらに、キャバクラや風俗店に未成年のキャストを送り込むことも少なくなく、それで店が潰れる事態すらあったというのだ。

こうしたグレーゾーンの集団はトラブル解決のため、いわゆる『ケツ持ち』としてヤクザと密な関係を築いている。
戦慄の「スカウト狩り」を決行したのは、まさしくその、ケツ持ちのヤクザだったのだ。
Nのケツ持ちは、関東でも最大規模を誇る広域団体の傘下組織「A」だった。
協力関係にあったはずの両者が決裂した理由だが、

「コロナ自粛期間中、Nが別のスカウト会社から現場スカウトの引き抜きを行ったんです。
これはご法度の行為。スカウト会社の収入は、店にあてがった女性キャストの収入の一部を還元させる、いわゆる『スカウトバック』。
さらに言えば、女性キャストは個人事業主なのでコロナの休業補償の給付金が申請でき、スカウト会社側は女性に指示してその金を吸い上げる計画などもあったようです。
しかしイケイケで勢いのあるNはおかまいなしに引き抜きを行った。
引き抜かれた側の経済損失は多大です。これまでのトラブルも相まって、引き抜かれた会社のケツ持ち組織Bが『もう勘弁ならん』と乗り出してきたのです」(ライター)

Bの母体もAと同じ組織だったため、三者は6月に入り話し合いの席を設けたのだが、その最中に事件が勃発する。

「ケジメを要求するB、とりなそうとするAに対し、Nの連中が逆ギレし、その場で乱闘が始まったのです。それぞれが応援を呼んで、数十人規模での大乱闘に発展。
一説によると、そこでNの上層部がAの人間を金属バットで殴打したとも聞きました。
結果、Nはその場から逃げたのですが、堪忍袋の緒が切れたAとBが組員を総動員して『スカウト狩り』に打って出たのです」(ライター)
本稿執筆時点の6月12日現在、歌舞伎町の路上にスカウトの姿はなかった。
「関係ないスカウトも、さすがに怖がって出てきていない。
K兄弟は身を隠し、仲介しようと手を差し伸べる関係者に対しても『誰も信じられない』と拒絶し、おびえているようだ。
一方で、特にBの怒りがまったく収まっておらず、Kらを見つけるまで『狩り』が続くことは間違いないだろう」(他組織関係者)

しかし、このようなお膝元の夜の街で巻き起こる不穏な「闇アラート」に対し、小池百合子都知事(67)は知らぬ存ぜぬを貫いている。
これはコロナ禍での歌舞伎町の窮状に対する姿勢と同様だという。
ライターによれば、「飲食店営業に制限がある中でも、歌舞伎町では3割程度の店が隠れて『闇営業』をしてきた。
常連から予約を募って、鍵をかけて営業するんです。
キャバクラ、ガールズバー、一般のバーなど、業種もさまざまで、闇営業のホストクラブがクラスター感染の原因ともなった。
休業要請だけを叫んできた小池都知事の失態と言えるでしょう」

現状の補償額では休業期間を乗り越えられない店舗が少なくないことはわかりきっていた。
すでに家賃を払えず廃業するケースも見られ、歌舞伎町の混乱は「東京アラート」解除後も深まるばかりだ。

「暴排条例の影響で、歌舞伎町でも多くの飲食店はみかじめ料を払っていません。
一方で、コロナやスカウト狩りの混乱に乗じて、ヤクザが飲食店に『ケツ持ちになってやる』と再び入り込むケースが出始めています。
恐喝になるので金額は口にしませんが、恐怖心をあおって『誠意』を要求してくる。
違法営業の後ろめたさから支払ってしまう店もあるし、断っても次から次へと別の組織の人間が顔を出してしつこく付きまとわれてしまう。
たとえ殴られても、闇営業の弱みで警察に通報できないというケースもあるのです」
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